肛門科までの道
私が紹介された病院は、市立病院の形成外科でした。
私は、そこで二回目の診察を受けました。その診察で初めて、痔ろうと言う単語を耳にしました。
形成外科の先生によると「確かに毛穴にごみが溜まっているのかもしれませんが、もうひとつ考えられる病気があります。痔ろうと言って、腸から肛門とは違う道が出来てしまう病気です。毛穴にごみが溜まっているのなら、形成外科で治療出来ますが、痔ろうは形成外科では治療できません。」とのことでした。
そして、私は同じ病院内の外科で診察を受けなおすように指示を受けました。
外科での診察は、今考えるとまさに専門病院で受けた診察と同じ診察でした。同じ診察でしたと言うは、変なように聞こえるかもしれませんが、実は、それぞれの科での診察を受けるポーズが違ったために、あとから考えたら変に感じたからです。同じ部位の診察をするのに体制がいちいち違うのは変に感じました。皮膚科では立ったままで、形成外科では、うつむせになり、外科では、横向きでひざを抱えて診察を受けました。
外科では、まず肛門に指を入れられ、その後、内視鏡で診察を受けました。「やっぱり痔ろうですね。内視鏡で痔ろうの穴は確認できませんでしたけど、間違いないでしょう。」
ショックでした。なんだか分からないけど痔ろう・・・・。恥ずかしい・・・・。入院したくない。
先生は続けて「ここでは痔ろうの手術はほとんど行われていません。どうしてもうちで治療したいのであればかまいませんが、ほとんどの場合専門の病院を紹介しています。専門の病院の方が間違いないとおもいますよ。」
私はわけが分からず、ただトントン拍子に進んで行く流れに身を任せるだけでした。
気が付けば、痔専門の病院の紹介状を手に病院を後にしていました。
痔ろう・・・・私が。友達になんて報告すればいの?どのくらい入院しなきゃならなの? 入院費はいくらかかるのかな? 痛いんだろうな・・・。 数えればきりがないほどの不安が私に襲いかかりました。
そうです。
私は、入院をしたことがありませんでした。
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